EXHIBITION

石垣克子 遠藤薫 タイラジュン 仲間伸恵 西永怜央菜 朴永均 HAYATO MACHIDA
The Okinawan
2022.9.3 sat - 9.11 sun
11:00 - 18:00
9/5は定休日

本展は、「沖縄人」という実体あるいは虚構へ接近する小さな試みである。

「沖縄人」という概念はおよそ 140 年ほどの時間にしか存在しない。明治天皇は 1872 年に琉球国を琉球藩として近代国家日本への組み込み、1879 年にはその琉球藩を廃して 沖縄県を設置し、琉球の人々は誰もそれを望んでいなかったにもかかわらず、「沖縄県人」 と措定された。それから 66 年間、かつての琉球人は「沖縄県人」「沖縄県民」「日本国 民」「天皇の赤子」という集団的自意識を培養したが、1945 年の凄惨な戦場で、そういう ものが全くの災厄であることを思い知った。

その後「沖縄人」は、アメリカの占領下で Ryukyuan:琉球人と呼ばれたが、人々は軍事 支配の軛から逃れようとして、66 年間帰属しただけの「祖国」へ還ることを熱望した。 念願の「沖縄返還」1972 年 5 月 15 日から半世紀となる 2022 年の現在、「沖縄人」と はどのような相貌をしているのか。「沖縄人」は時の経過とともに消えゆき、国民統合され た「日本人」の完成形へと向かうのだろうか。それとも「沖縄人」とは、思いもよらぬ時 にふと浮かび上がる聖痕のように島人の皮膚の深層に潜んでいる何ものかであるのか。そ もそも「沖縄人」とは、ほんとうに存在していた/いるのか?

本展は、ポスト沖縄返還期の作家たちにこの問いを投げる。どこにも帰属せず何にも捉わ れずコスモポリタンの夢を見ることのできる、グローバリゼーションの子供たちが表現す る「沖縄人」の存在あるいは不在。作家たちのオマージュの向こうに、歴史的に回顧され る「日本復帰 50 年」ではなく、沖縄の<いまここ>が浮上する。

 

企画|豊見山和美